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英国式金管バンドとは?

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英国式金管バンド
British Style Brass Band 

英国式ブラスバンドとは、イギリスで発展した「金管楽器」と「打楽器」で演奏される合奏形態のことをいいます。

 

日本では吹奏楽のことを「ブラスバンド」とも呼びますが、イギリスでは吹奏楽を「ウインド・バンド(wind band)」、金管バンドを「ブラス・バンド(brass band)」と区別して呼ばれています。

英国式金管バンドの歴史

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金管バンドの始まりは、19世紀前半、イギリスの労働者階級を中心に禁酒運動の一環で、レジャーやレクリエーションとしてイギリス各地で職場バンドや市民バンドが作られ始めました。

 

当時のブラスバンド編成は今とは大きく異なり、クラリネットなどの木管楽器も含まれていました。

19世紀半ばには、サクソフォンなどの管楽器を考案したベルギーの楽器製造者、アドルフ・サックスにより、音色を統一させることを目的とした「サクソルン」が開発され、1851年のロンドン万国博覧会で発表されると、ブラスバンドの編成に取り入られるようになり、やがて中心的な楽器になっていきました。

1853年には初の継続的なコンテストとなる「ベルヴューコンテスト」が開催されるようになり、ブラスバンド編成が統一され、演奏技術も向上していきました。

また、18世紀から19世紀にかけて起こった産業革命によって印刷技術の革新が続いたことで、楽譜の大量印刷と出版ができるようになり、より簡単に譜面が手に入るようになったこともブラスバンドの急速な発展につながりました。

20世紀ごろにはコンテストでブラスバンドのオリジナル曲が作曲されるようになり、レパートリーも多くなりました。

現在、「イギリスには町に1つはバンドがある。」というほど、ブラスバンドが普及しており、2000程の団体が活動しているといわれています。

写真 - ヨークシャーにある炭坑の町グリムリーを舞台、グライムソープコリアリーバンドをキャストとした実話映画「ブラス!」(英Brassed Off)より。

「サクソルン」ってなに?

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「サクソルン」とは、1843年ごろにベルギーの管楽器製作者アドルフ・サックスによって考案された、金管楽器のことをいいます。

ゆるやかな円錐状の管をもち、サキソフォンと同様に音色の統一が図られており、3つ以上の「ピストン式の弁(バルブ)」を持っています。

金管バンドでは「コルネット」「フリューゲルホルン」「テナーホーン」「バリトン」「ユーフォニアム」「チューバ」がサクソルン属の楽器にあたります。

​合奏形態について

​ パーカッション 

 ​B♭バス 

​ E♭バス 

 3rdコルネット 

​ テナーホーン 

​ フリューゲルホルン 

​ 2nd 

​ 1st 

​ ソロ 

 バリトン 

 2ndコルネット 

​ 2nd 

​ リピアノ・コルネット 

​ トゥッティ・ソロ・コルネット 

​ 1st 

 ユーフォニアム 

​ ソプラノ・コルネット 

​ アシスタント・プリンシパル・ソロ・コルネット 

​ プリンシパル・ソロ・コルネット 

 指揮者 

​ 2nd 

​ ソロ 

​ バス・トロンボーン 

​ トロンボーン 

​ 2nd 

​ ソロ 

英国式金管バンドは通常、これらの28人の楽器群で成り立ちます。

 

金管楽器として良く知られるトランペットやフレンチホルンは含まれず、この中でトロンボーンを除く全ての金管楽器はサクソルン族と呼ばれる円錐形の楽器になっています。

トランペットやトロンボーンは直管型と呼ばれ、管の太さがベルに達する直前まで変わらないのに対し、円錐形のサクソルン族は吹き口からベルに向けて徐々に太くなっていきます。

この円錐形の楽器群が生み出す柔らかな音に、直管楽器であるトロンボーン、また打楽器がアクセントを加え、金管バンド独特の響きがつくられます。

 

上の表の並び方は一般的なものですが、他にもバンドによって様々な並び方があります。得にフリューゲルホルンの場所はテナーホーンの左側だったり、バックロー(後列)のリピアノコルネットの隣だったり、ソロユーフォニアムの所だったりと様々です。

 

各ポジションと役割について

ブラスバンドの各ポジションの呼び方はテナーホーンは上からsolo→1st→2nd、バリトンは1st→2nd、トロンボーンはsolo→2nd→bass、ベースはE♭、B♭と大変複雑でイギリス人でもしばしば混乱します。

当サイトでは英語の音に近づけるために「horn」は「ホルン」ではなく「ホーン」、「bass」は「バス」ではな「ベース」と表記していますが、下の表では混乱を避けるために英語表記に統一してあります。

Cornet Section 

 

Front Row Cornets(前列のコルネット)

 

Solo Cornet × 4   -  上の表の一番手前にあたるポジションがPrincipal Solo Cornetと呼ばれます。

Solo Cornet × 4   -  バンド全体をリードする、オーケストラのコンサートマスターのようなポジションです。 

Solo Cornet × 4   -  Solo Cornetとは言いますが4人で演奏されるので、Prinscipal以外の3人はTutti Cornetとも呼ばれます。 

Solo Cornet × 4   -  Principalの隣の席はPrincipalを補助するポジションでBumper-Up Solo Cornetとも呼ばれす。また、

Solo Cornet × 4   -  単純にSolo Cornet(The 2nd Man Down)、二番目のソロコルネット奏者というふうに紹介されることも

Solo Cornet × 4   -  多いです。Assistant Solo Cornetと呼ばれることもあります。キーはB♭。

 

Back Row Cornets(後列のコルネット)

 

Soplano Cornet  -  上の表の一番左手前の位置にあたり、バンドの中で一番高い音域を担当する楽器です。キーはE♭。

 

Repiano Cornet  -  Soplano Cornetの隣に位置します。主旋律に対する対旋律やハーモニーなど、様々な伴奏の役割を担当

Repoano Cornet -  するポジションです。CornetはSoplano Cornet以外はすべてPrincipal Cornetと同じB♭です。

 

2nd Cornet  -        メロディはもちろん、ハーモニーや打ち込み音など、様々な場面Solo Cornetを支えます。

 

3rd Cornet   -        2nd Cornetと同じく、Back Low(後列)にてCornetセクションの最低音を担当します。

Flugel Horn    -     キーはCornetと同じB♭ですが楽器の形状がより円錐型で、更に柔らかい音を演奏できます頻繁にソロ

Flugel Horn    -     のメロディを担当しますが、 Tenor Hornセクションのトップの音やCornetセクションの

Flugel Horn    -     ベースの音を担当したり、ときにはRepiano Cornetと同じパートを担当したりと、様々な立ち回りを見せます。

Tenor Horns 

Solo Tenor Horn - Tenor Hornセクションのトップパートで、ソロも多いです。ブラスバンドのサウンドの要になるセクション

Solo Tenor Horn - とも言われています。アメリカではAlto Horn(アルトホルン)と呼ばれる事が多いです。キーはE♭。

 

1st Tenor Horn   - Tenor Hornセクションの内声を担当するポジション。

 

2nd Tenor Horn - Tenor Hornセクションの最低音のパート。

Bariton Horns

1st Bariton       -      Tenor HornとEuphoniumの間に挟まれ、各セクションのサウンドを接続します。キーはB♭。

 

2nd Bariton     -      1st Baritonと同じくブラスバンドらしいサウンドを作る上で重要なポジションだ言われています。

Euphoniums 

Solo Euphonium - 指揮者を挟んでちょうどPrincipal Cornetの反対側に位置するポジションです。オーケストラでいうチェロの

Solo Euphonium - トップ奏者の様な役割で、重要なソロパートを多く担当します。キーはB♭。

2nd Euphonium - Solo Euphoniumを補助したり、Bariton Hornと同じパートも多く担当します。

Trombones

Solo Trombone - ブラスバンドで唯一の直管型の楽器。Solo Tromboneではなく、単純に1st Tromboneと呼ばれることもありま

Solo Trombone - す。キーはB♭

 

2nd Trombone  -  Tromboneセクションの内声を担当するパート。

 

Bass Trombone - Tromboneセクションのベースパート。音部記号はブラスバンドの中で

Bass Trombone - 唯一、Cのへ音記号で書かれます。1950-1980のあたりにはG Bass trombone

Bass Trombone - という、細管(Baritonや細管Tenor Tromboneと同じボアのマウスピースに対応)

Bass Trombone - で、G管なのでBb Bass Tromboneよりも長い管でスライドにはハンドルが付が

Bass Trombone - ついている、という非常に特殊な楽器で演奏されていました。

 

Basses

Eb Bass          -    キーがE♭のBass。吹奏楽などではテューバ(Tuba)と呼ばれる事が多いですが、イギリスではオーケストラのb Bass      

Eb Bass          -    奏者はtuba player、ブラスバンドやミリタリーバンドの奏者はbass playerとしてその呼び方が

Eb Bass          -    区別されることもあります。ロータリー式ではなくピストン式の楽器を使用します。

 

Bb Bass          -    その名の通りキーがB♭のBass。バンドの最低音を担当する楽器です。

Percussions

Timpani, glockenspiel, snare drum, triangle, cymbals, a drum kit and more...

打楽器奏者3人によって金管楽器の作る豊かなサウンドに更にリズムやアクセントが加わります。現在ではブラスバンドは金管楽器奏者と打楽器奏者の計28人で成り立ちますが、古くはブラスバンドは金管楽器のみで構成され、そこにいつからか打楽器が入るようになりました。英国には打楽器なしの伝統的な金管楽器のみのバンドの為のコンテストが存在します。

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